住宅の塗替え工事にあたっては、メインとなる屋根や外壁のほかにも、塗装する箇所がたくさんあります。まとめて「付帯部」と呼んでいます。
屋根や外壁ほどの広い面積はなく、目立たないこともあるのですが、施工するとしないとでは全体の仕上がり(見た目)に大きく影響します。見た目だけでなく、些細な箇所からの傷みが住宅全体の劣化につながりかねないので、塗替え工事では付帯部も丁寧に塗装する必要があります。
今回は住宅にはどのような付帯部があるかをご紹介していきます。皆様のお家と照らし合わせて、塗装の必要があるか、見積りに含まれているかなど、ぜひ参考にしてみてください。
付帯部の種類
・軒天

屋根が外壁よりも突き出ている部分の、下から見上げた時に見える天井のような部分が「軒天」です。
屋根から伝ってきた雨水が直接外壁にかかるのを防ぎ、外壁の劣化を抑える役割と屋根裏の湿気や熱気を排出して下地の腐食を抑える役割があります。そのため、防カビ・防藻性に優れた透湿塗料を使用して施工します。
多くの住宅で使われているケイカル板などのボード材で造られた軒天は、この透湿塗料を2回塗りを基本として仕上げます。
鉄筋コンクリート造の住宅など外壁と同材で造られている軒天の場合は、外壁と同じ塗料を使用して仕上げます。また、金属板を使用している場合もありますがこちらは下塗り(サビ止め)が必要になります。
・破風/鼻隠し

屋根の先端部分に取り付けられている板のことを、破風(はふ)・鼻隠し(はなかくし)といいます。
写真のような三角の形をした方の板を破風、雨どいが設置されている長い板の方を鼻隠しと名称されていますが、両方ともまとめて破風と呼んだりしています。雨や風の侵入を防ぎ、屋根裏を守ってくれています。また、鼻隠しは雨どいを取り付ける際の土台としても使われています。
屋根の次に経年劣化が早い箇所なので、下地処理・下塗りを含めた塗装が必要です。しかし、塗装の見積りでは単価を下げるために外壁塗料に比べて低グレードな塗料を使われている場合がありますので、価格だけでなくどんな塗料を使用するか確認したほうがいいですね。
・幕板

幕板は、外壁の1階と2階の境目や異なるデザインの外装材の切り替わり部分に取り付けられている部材です。ツートンカラーにする場合は、幕板を基準にして塗り分けるとすっきりまとまって仕上がります。
破風と違って、雨風から下地を守るなどの機能はありませんが、住宅の見た目を美しく整える役割を担っています。
幕板も基本的には破風と同じ塗料で仕上げます。それに加えて、幕板の上端(外壁と幕板の継ぎ目)にはコーキングを打つことで隙間に雨水が侵入するのを防ぎます。幕板の割れや劣化、雨漏りのリスクを低減します。
・雨どい

屋根に降った雨水を集めて下に流す役割をもっています。雨どいが無いと、軒先から雨水がダイレクトに落下し、跳ねっ返りの水が外壁に当たってしまいますので地面の汚れが付くだけでなく劣化も早めてしまいます。雨どいも破風同様、傷みやすいものなので破風/幕板と同じ弱溶剤塗料を用いて塗装します。
また、雨どいは雨受けの中に泥や落ち葉が溜まっている場合が多いです。その状態だと、雨水が流れず雨どいとしての機能を果たしません。なので表面の塗装だけでなく内部の掃除も必要です。長年放置した結果、堆積した土から雑草が生えている雨どいもたまに見かけます。
割れたり支持金具から外れている雨どいは、部分差替えや再固定を行なって塗装します。破損が広範囲に広がっていたり歪みで勾配が取れていないほど劣化している場合は、塗装ではなく架替えをおすすめしています。
付帯部はまだまだあります。次回は、鉄部・木部の付帯部をご紹介します。

